ベトナムの経済システム
特徴1. 中国同様に市場経済原理と経済開放主義を採用
ベトナムは中国と同様、共産党一党独裁体制を維持しつつ市場経済化を進めており、「東南アジアのミニ中国」とも言えます。
1986年のドイモイ政策による市場経済システムの導入以降、従来の社会主義思想に拘らず、より現実的な経済運営によって国民生活の向上をはかる路線に転換しています。
経済開発の基本戦略も中国と同じであり、まず、ODAを活用してインフラを建設し投資環境を整備し、外国から直接投資を呼び込んで外資企業による輸出を拡大させ、それをテコに工業化・経済成長を遂げてきています。
その結果、ベトナムにあった社会主義を追求する国家となっています。資本主義的な市場経済原理の導入により、経済面では西欧の資本主義国との差は殆ど有りません。
国家は、国内の力を促進するという考えに基づき、自主・独立経済を構 築し、国際経済参入を主導する;国土の工業化、現代化を実現する。 国家は、社会主義の方針のもと、市場経済を発展させる政策を一貫して実現させる。様々な生産・経営組織の各形態をもつ多様な構成要素の経済 構造は、全人民所有、集団所有、個人所有の制度に基づくものであるが、 そこにおいて、全人民所有と集団所有がその土台となる。ー憲法第15条
特徴2.国有企業の民営化が進む
ここ数年、ベトナムは、AEC(アセアン経済共同体)やTPP(環太平洋戦略的経済連携協定)交渉を通じて、諸外国から国営企業の開放を迫られている背景と、国営企業の経営の効率化、競争力強化等を目指し、積極的に国営企業の株式会社化を進めています。
2007年にWTO(世界貿易機関)に加盟したことが国営企業の株式会社化の流れに拍車をかけ、1990年に約12,000社あった国営企業は、2016年は約600社にまで減少しています。しかし、国家が直接・間接に支配的所有を行う企業は依然として2,000社以上あると言われています。
国営企業の株式会社化の例
- 2003年:ビナミルク(最大手乳製品会社)
- 2006年:ベトコムバンク(メガバンク)
- 2013年:ペトロベトナムガス(ガス最大手)
- 2014年:ベトナム航空(最大手航空会社)
- 2017年:”サベコ”サイゴンビール・アルコール飲料(最大手ビール会社)
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