ベトナムの政治システムの特徴
特徴1.マルクス・レーニン主義を掲げる社会主義体制
憲法で政治体制の根幹を社会主義であるとし、共産党の指導性を定め、この党の指導性は民主集中の原則によって担保され、伝統的な共産党一党独裁の政治体制を維持しています。
ベトナム社会主義共和国家は、人民の人民による人民のための社会主義的法治国家である。全ての国家権力は、人民に属しており、その礎と なる人民は、労働者階級と農民階級及び知識人層の連合体である。 国家権力は統一しており、立法権・法執行(行政)権・司法権は、各国家機関間で配分され、協同している。ー憲法第2条
現在の社会主義国の一覧
2020年現在、世界で社会主義体制を採用している国は5カ国のみです。
- 🇨🇳中華人民共和国
- 🇻🇳ベトナム社会主義共和国
- 🇱🇦ラオス人民民主共和国
- 🇰🇵朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)
- 🇨🇺キューバ共和国
特徴2. 共産党による1党独裁支配
ベトナム共産党は憲法で「国家と社会の指導勢力」と規定された唯一の合法政党です。最高意思決定機関であり一党独裁を敷いています。共産党書記長は約500万人の党員の頂点に立つと同時に、国家権力の最高位に位置します。中国と同様に、5年に一度の共産党大会で次の権力構造が確定します。
国家機関や大衆組織の指導的幹部は共産党員によりほぼ独占されており、党の影響力は極めて大きいです。
ベトナム共産党は、ベトナム労働者階級の先導隊であり、マルクスーレーニン主義及びホーチミン思想に従って、労働者階級及び働く人民や、すべての民族の権利を忠実に代表する、国家と社会の指導勢力である。ー憲法第4条
特徴3. 四柱によるバランスが取れた集団統治
一党独裁ですが、独裁者を好まず権力分散とコンセンサス重視の指向が強く、集団指導体制が確立しています。その点は中国や北朝鮮などと明らかに異なります。
国家主席は国家元首であり、対内的・対外的にベトナム社会主義共和 国を代表する者である。ー憲法第101条
国家の最高職位は”四柱”といわれる共産党書記長、国家主席(大統領)、首相、国会議長で、 この4首脳による集団指導体制によって安定した政権運営が保たれています。(現在は書記長が国家主席を兼務)
権力構造としては、党書記長が党内序列が常に一位の最高指導者で、国家主席(大統領)、首相、国会議長がこれに続きます。国家主席が対外的な国の代表で、首相が内政を牛耳っており、二人に共産党書記長を加えたトロイカが権力の中枢になります。
政治的に安定しており、旧ソ連、東欧諸国、中国などの様に、トップが代わると国の方針まで変わるということがありません。
ベトナム共産党の党内序列と権力構造
- 第1位:「党書記長(最高指導者)」」→一党独裁の共産党TOP
- 第2位:「国家主席・大統領(国家元首)」→国家のTOPだが儀礼・名目的で実権無し
- 第3位:「首相(政府代表)」 →内閣の運営・行政
- 第4位:「国会議長」 →国会の運営・司法・立法
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