ロンタイン国際空港の概要
2025年開港!総投資額1.6兆円のホーチミン市の新たな玄関口
ロンタイン国際空港(Long Thành International Airport)とは、2020年に開港予定、計画の第1期が25年完成予定のベトナム社会主義共和国ホーチミン市のドンナイ省ロンタイン地区に建設される新国際空港です。
その構想は、最終的には滑走路4本と4つのターミナルを備えたハブ空港として年間乗降客7,000万人を見込んでおり、東南アジアでも随一の近代的な空港及び近隣のエアポートシティが建設される予定です。
2020年から第1ステージ、2030年には第2ステージ、以降の3期ステージと長期のマイルストーンが設置されており、合計の投資総額は336兆6000億VND(約1兆6200億円)の計算となる国家的な大プロジェクトです。
ロンタイン国際空港開港の経緯
1. タンソンニャット国際空港の旅客対応の限界
現在のホーチミン市タンビン区の玄関口、タンソンニャット国際空港(Tan Son Nhat International Airport)は、増大する旅客需要に対応するために国際旅客ターミナル及び、付帯施設が2007年に完成しており、2,000万人規模の旅客に対応可能です。
しかし、駐機スポットの不足などから既存設備では対応しきれない可能性があり、ベトナムの航空需要の成長を促進するためにも新たな国際空港の建設は必須なものと考えられています。
更に2010年のホーチミンの航空需要予測によると同エリアの旅客需要は、国内線・国際線を合わせると2020年には2,500万人を突破し、2025年に4,000万人、そして2030年には5,000万人を超える見通しになっています。
この通り、ベトナムのインバウンド需要の伸びは予想を上回るペースで進んでおり、タンソンニャット国際空港の処理能力が限界を迎える2020年を目処にベトナム政府はロンタイン国際空港を開港することを目指しています。
2. 東南アジア諸国に対抗し欧州と北米の航空便の経由地を狙う
近隣の東南アジア諸国は大規模な国際空港を建設しており、タイ王国のスワンナプーム国際空港、 マレーシアのクアラルンプール国際空港、 シンガポールのチャンギ国際空港など、アジアと欧米諸国を繋ぐ国際的なハブとして機能しています。
一方、空港のインフラが未整備のベトナムは欧州と北米の航空便の経由地としての役割を担うことができません。
東南アジア地域の中心地に位置するロンタイン国際空港は欧州、 中東地域、南アジア、東北アジア、北米、 オセアニアへの航空便の経由地となります。ベトナムと世界各国との距離を縮め、観光発展に有利な条件を作り出す、インバウンド戦略を促進します。
ロンタイン国際空港開港の特徴
1. 建設地はドンナイ省ロンタイン地区
新空港建設予定地とされるドンナイ省ロンタイン地区は、ホーチミン市北東35km(車で1時間)に位置するベトナム南部経済の中心地です。
工場の集積地、ロンタイン牧場、ロンタインゴルフクラブなどが有名です。現在建設が進められている東西ハイウェイと南北高速道路のホーチミン・ゾーザイ間が完成するとホーチミン中心部から、ほぼ一直線にロンタン国際空港予定地へアクセス出来るようになります。
このプロジェクトはドンナイ省だけでなく、東南部地域、南部の重点的経済地区の工業化近代化事業を促進します。また、およそ20万人に雇用を創出します。
2. デザインは優雅でベトナムのシンボルの蓮の華
デザインに関しては、コンペが開催されました。最終的に、交通運輸省は「蓮の花」案を提出した韓国企業へーリムアーキテクツ&プランナーズの提案を採用。決定理由は「一貫性があり、優雅でベトナムのシンボルを表している」と公表されています。
同コンペには日系企業の梓設計がニッパヤシ(マングローブ植物)をイメージした設計案、また坂茂建築設計が竹材を使用した設計案で最終選考まで残りました。
3. 旧タンソンニャット空港の住み分け
ロンタイン国際空港が完成してもタンソンニャット国際空港からの全面移転とするには課題が多くあります。よって、ロンタイン国際空港を東南アジアのハブ空港と位置づけ、タンソンニャット国際空港にはその補助的な役割と国内線用空港になる予定です。
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- ロンタイン国際空港: 国際線(90%)、国内線(20%)
- タンソンニャット国際空港:国際線 LCC (10%)、国内線(80%)
隣国タイではスワンナプーム国際空港をハブ空港に、旧国際空港のドンムアン空港がLCC空港として住み分けが上手く出来ています。
ロンタイン国際空港開港までの計画
第1期 2025年
第1期では遅くとも2025年までに滑走路1本と旅客ターミナルを稼働させ、年間2,500万人の乗客と120万トンの貨物を取り扱えるようにする計画です。
第2期 2035年
2035年を対象年とし、2030年を目処に完成する施設で、 4000m長の滑走路はクローズパラレルの一組に加えて、オープンパラレルの1本が建設されます。また、40万㎡の旅客ターミナルビルを新滑走路側に建設します。この時点で、年間5,200万人の旅客、 140万トン以上の貨物を取り扱う能力を有する計画です。
第3期 20XX年
対象年を定めず、年間旅客1億人、貨物500万トンを取り扱う能力を 持つ施設を整備するステージです。実際上は第2期と最終期の間にはいくつかの整備ステージが設置されています。時期については今後の需要動向を検討しながら決定されるようです。 滑走路はクローズパラレル滑走路が2組、オープンパラレルに配置され、40万㎡の旅客ターミナルビルは4ユニット建設され、 5,000haの敷地全体に広がる計画です。
ロンタイン国際空港の今後
ロンタイン国際空港の建設用地は5千ヘクタールで、将来は空港を中心として工業・貿易・サービスの中心地を備えた新たなエアポートシティが誕生します。