ベトナムの工業団地の概要
中小企業を中心に、依然としてベトナムへの投資意欲は強く、特にホーチミン市を中心としたベトナム南部地域は投資意欲が高い地域です。
2013年9月までに工業団地、輸出加工区、経済特区への累計投資件数は6,000件、累計投資総額は国内から約900兆VND超(約426億USD超)にのぼっています。
それに加え、海外からの投資件数は 4,820件であり、総額1,100億USD超となりました。また、工業団地は毎年の全国工業部門における生産価値の40%、輸出価値の60%を生み出し、2013年6月時点では累計210万人超の雇用を創出しています。
ホーチミン市と近郊の工業団地
ホーチミン市とその近郊のビンズオン省、ドンナイ省、ロンアン省、バリア・ブンタウ省、そしてタイニン省に、合計約100箇所の工業団地があります。
ホーチミン市の工業団地
ベトナム最大の経済都市ホーチミン市には、現在22の工業団地があります。
1. タントゥアン輸出加工区(Tan Thuan Export Processing Zone)
タントゥアン輸出加工区は、ホーチミン市南部の7区(Disrtict7)に位置するベトナムで最も古い工業団地の一つです。駐在員が多く住むフーミーフン新都市に隣接しています。
輸出加工区は「輸出品の製造に特化する企業の集積」を目的として1991年に整備されましたが、インフラ供給不足や開発業者の資金難により、タントゥアン以外は企業誘致がうまくいきませんでした。開発当初から多くの日系企業が進出しており、古河電気工業・グンゼ・双葉電子工業などの工場があります。
ビンズオン(Binh Duong)省の工業団地
ビンズオン省は、ホーチミン市内中心部から20km、車で1間弱の場所に位置し、人口約169万人を抱える大きな省です。2020年に政府の中央直轄市に格上げされることが決定しており、都市開発が進み未来型都市へと変貌を遂げることが期待されています。
1. ミーフック工業団地(My Phuoc)
ミーフック工業団地は、ホーチミン市に次ぐ南部経済を支える主要省ビンズオン省にある総敷地面積6100ヘクタールの広大な土地に工業都市です。ミーフック1から5までの団地を有しており、その規模はベトナム最大規模です。
ドンナイ(Ding Nai)省の工業団地
ホーチミン市中心部およびカトライ港まで車で約40分の距離のドンナイ省は、新たにロンタイン国際空港が開業することが決まっており、益々注目が集まっています。現在、22の工業団地があります。
1. アマタ工業団地(Amata Industrial Park)
アマタ工業団地は、ベトナム南北を結ぶ国道1号線に隣接し、ホーチミン市から車で50分の距離のドンナイ省にあります。タイの工業団地開発会社アマタコーポレーションに伊藤忠商事が出資する形で開発された日系の工業団地です。金属・プラスチック加工業が多く入居しています。他に、花王・YKK・ワタベウエディングなどの日本企業の工場があります。
2. ロンドゥック工業団地(Long Duc Industrial Park)
ロンドウック工業団地は、ドンナイ省ロンタイン県ロンドウックに位置する工業団地です。空路全てにおいて便利な立地であると共に、標高が40m前後のなだらかな丘陵地帯であるため、洪水の心配が無いという優位性を持っています。2025年にはわずか14kmという至近距離に、ロンタイン新国際空港が開港予定です。
日本の総合商社「双日」の海外工業団地として有名です。
ロンアン(Long An)省の工業団地
ロンアン省はホーチミン市の南西に隣接するメコンデルタへの玄関口という好立地が特徴です。 28の工業団地があります。
1. ロンハウ工業団地(Long Hau Industrial Park)
ロンハウ工業団地は、2006年5月に設立のロンアン省カンジョック郡ロンハウにある工業団地です。現在入居企業150社、うち42社日系企業とうように約30%を日本企業が占めています。ホーチミン市中心部から約19km、約40分の好立地です。7区(Disrtict7)で日本人駐在家族が多く住むフーミーフン新都市から約12km、約20分の距離です。
バリア・ブンタウ(BaRia VungTau)省の工業団地
バリア・ブンタウ省は北部ハイフォン市と共に、日系裾野産業の誘致強化2地域の一つとして指定されています。10の工業団地があります。
フーミー工業団地(Phu My Industrial Park)
フーミー工業団地では主に鉄鋼素材が生産されています。Vina Kyoei(出資:共英製鋼、ベトナム・スチール、三井物産、伊藤忠丸紅鉄鋼)、 フーミー2工業団地のPosco, Posco – SS(韓国), Fuco(台湾)、Nippon Steel(株主構成:新日鉄住金、ベトナム・スチール・メタルワンなど)、そしてミースアンA2工業団地のChina Steel Sumikin(出資:新日鉄住金、中国鉄鋼、住友商事など)などで鉄鋼素材が生産されています。
タイニン(Tay Ninh)省の工業団地
タイニン省はカンボジア3省と240キロ国境を接し、ベトナムとカンボジア間で最大の経済地域です。ホーチミン市とプノンペン市を繋いでおり、モクバイ国境ゲートを介した陸路でカンボジア、タイ、ASEANにアクセスが便利です。
1. フックドン(フオックドン)工業団地(Phuoc Dong Industrial Park)
フックドン工業団地は、ベトナム最大の天然ゴム生産会社で国営企業のベトナムゴムグループ(VRG)の傘下企業、サイゴンVRG投資株式会社が投資して建設した工業団地です。